技術的検証:軍民Gore-Tex/ゴアテックス 編(2022年04月15日)
2021度の研究プロジェクト「民生技術に潜む軍民両用技術:現状調査と技術的検証」の技術的検証として軍民双方
で同一の名称(商標)で普及し市民生活にも身近な防水透湿性素材「Gore-Tex / ゴアテックス」に焦点を当て軍用と民生用のジャケットを対象に比較実験を2月中旬から3月末の期間で行いました。
Gore-Tex/ゴアテックス(※以下、ゴアテックス)を対象にした理由として、民生利用においては登山からファッションまで幅広く認知され近年のアウトドアブームによってより身近になった点、軍事利用においては1980年代後半から米軍の寒冷地レイヤリングシステムECWCS(EXTENDED COLD WEATHER CLOTHING SYSTEM)の中のLEVEL6にあたる透湿防水素材ハードシェル(ジャケット、パンツ)での採用を皮切りに消防、レスキューといった特殊環境の現場でも導入され日本でも自衛隊、海上保安庁、消防庁で採用されるなど軍民双方で普及している点が挙げられます。さらに軍民双方で普及し認知度の高い技術に焦点を当てる事で年齢立場に関係なく軍民両用技術への興味や新たな認識を持ってもらう事を意識しました。
ゴアテックス採用製品のカタログや技術資料においては軍民どちらも同じ名称(商標)で性能も同等であるかのように記載されているけど本当はどうなんだろう?こんな疑問に対してカタログスペックでは測れない体感や使い勝手の部分を含め比較実験に挑みました。中でも苦労したのが標高1800mの雪山での防風性、保温性についての比較実験でした。計画したまでは良かったものの、昨年末から各地で例年を上回る降雪量だった事もあって降雪が落ち着いた3月に入ると雪崩警報が頻繁に発出され中断と延期を繰り返し研究期間を延長して何とか完遂する事ができました。
結果として性能の差はある程度明確になった反面、その過程で生じた環境問題やSDGsの観点における矛盾等々…新たな問題提起も含め詳細に渡る結果は5月末頃に公開予定の研究レポートに掲載する予定です。
※比較実験における雪山登山及びスキー場管理区域外での活動については経験者のアドバイスを受け安全に考慮して十分な装備を携行して行いました。