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一般財団法人 新技術振興渡辺記念会2019年度研究成果報告会「人工知能(AI)の軍事技術への導入に関する調査」(2021年04月26日)

 4月21日、新型コロナの影響で約1年延期になっていた一般財団法人新技術振興渡辺記念会主催の2019年度研究成果報告会が開催されました。当研究所も成果発表を行いましたが、各研究機関の幅広い問題意識とその成果について知ることができる、またとない機会となりました。

 当研究所は、要点の解説(※下記資料参照)だけでなく実証実験の実演としてNVIDIAの小型AIコンピューターJetsonNanoと暗視カメラモジュールを使用したリアルタイムAI物体検出(※下記画像参照)を行いました。本研究を開始した当時、JetsonNano発売直後の熱気と立場や年齢問わず多彩なアイデアと技術、いわゆるオープンソースやオープンサイエンス的カルチャーが現在も実用化や製品化を後押ししている現状を紹介しました。本研究の結論で示した「市民社会は利害関係者に踊らされること無く、AI技術を実際に手にし、その⺠主的な利用を考えていくべきである」を再確認できたように思います。(下記に続く↓)

​【成果発表会講演資料】(PDF)

​「人口知能の軍事技術への導入に関する調査」

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※本ページの資料、画像の転載、引用につきましては必ずこちらからお問い合わせください。

 AIの軍事技術への導入」という本研究の主要観点については、研究期間が終了して1年以上経った現在も「人間が介入せず機械が勝手に判断して人間を殺傷する=LAWS」「未知の技術」といった主張を一部市民団体や専門家が続けている現状があります。また2020年9月の国連軍縮会議の政府専門家会合では「人間の関与」について議論されるといった現実的な方向に進みはじめてもいます。

 しかしながら世界の動向に目を向けると、AIの軍事技術への導入は潜在的に進んでいるといえます。例えば2020年12月のイラン核科学者暗殺事件では、イスラエルの企業が開発した自動小銃コントロールシステムを使用したとされていますが、これは本研究で実証実験を行った「AI搭載電子補正式照準器」(※上記記画像参照)やJetsonNanoと同等の小型AIコンピューターが組み込まれたシステムです。また2020年9月に勃発したアゼルバイジャンとアルメニアによるナゴルノ・カラバフ紛争では、アゼルバイジャン軍によって実戦投入されたイスラエル製の通称「自爆ドローン」にも小型AIコンピューターが組み込まれています。

 このような世界の現状に目を向けず、AI技術への理解を示さず手に取らないままに安易に危険だと決めつけることは、軍民両用技術に囲まれた社会の問題を見落とし、解決のための思考を停止してしまうことになります。今こそ年齢や立場を問わずに技術を実際に扱う人々の意見に耳を傾けて、この問題に真摯に対峙すべきだと強く思います。

 

 今回、研究成果の妥当性を再確認できたことは、軍民両用技術の問題を軸に研究活動を続ける当研究所にとって大変貴重なものとなりました。新技術振興渡辺記念会の皆さまにはこの場を借りて御礼申し上げます。

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